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「三人」

Roman

トリオとお名前だけアリスちゃんを借りてます。トリオレンタル率が以上です。


五月下旬、四季巡るメアレイヒでは梅雨時を控え暑さと涼しさが安定しない時期だ。
北部も例外ではなく梅雨を忘れ夏を一足飛びで迎えてしまったのではないかと言う暑さが、ここデーゲンレヒト軍学校でも猛威を奮っていた。




敷地内をかける、青年が 二人。
片や顔のうかがえぬガスマスクの男、片や長い髪を一つに結った男。
高等部選抜クラス1組に所属する軍学生である。

「ムリムリ、ぜったいあんなの出来ない」
「サニさん最近なんか訓練きっつくなったよね」

息荒く学校敷地である古い城内を走り回る。
マスクのエージも長髪のオレインも長く在籍する敷地内は自分の庭のようなもので、
如何に疲れず、如何に体力を削らず、如何に見つからず逃げ回れる道を何通りも作っては逃走の経路としてストックしてある。
数年の在籍しかしない臨時教員や新米の常駐教員を巻くのに有効に使うのだ。
先日、からかい半分にエアリスから逃走を図った時には卒業生であるはずのエアリスを迷子に陥れる程の効果を発揮した。
その後大目玉をくらいホームワークと罰掃除が増えたのは言うまでも無い。

新任教師、臨時教師なら有効な逃走でも長年教員として教壇に立つ彼女をまくのは難しい。
二人とも重々承知だった。

小等部から中等部、現在高等部に至るまで沢山のたわいない悪戯をした。
年頃の男の子なら誰でも持て余す好奇心を素直にばら撒いては毎回彼女に捕まっていた。
逃げ切れたのは事はあったかのか無かったかのか。
途中彼女が仕事で追うのを止めても、次の日、それでもなければ次の次の日。
彼女のオフィスに連行されていった幼い記憶は今でも鮮明だ。

逃げるのが無理ならば、誰かに匿って貰おう。

走る二人はお互いに顔を見合わせた。
思うことは同じ。

今の時間ならば多分、 ―――――使役小屋。

 

 

 


見ているだけで暑く重そうな黒髪を整えながらサニが付いたのは使役小屋の前。
毛並みの整ったウインディが一匹、サニに気づくと彼はウィンと鼻をならす。

「こんにちは、疾風」

よく手入れされた鬣をさすりながら、サニは足元に目を落とす。
ウインディ以外に人型の何かが暴れ、通り過ぎ、引き摺られた形跡。
当たりだ。

「疾風、あなたのパートナーは
何処に行ってしまわれたのか教えてくださいませんか」

正しくは何処に引き摺られていったのか、だが。
疾風と呼ばれたウインディはサニに身体を寄せながらも顔は違う方向へ向け、悩むような仕草をする。

「今日は犬丸さんではなく、そばにいるであろう二人を捕まえに来たんですよ
お二人を連れて行けば私は帰りますから、犬丸さんと遊べますよ」

理解したようにウィンと一声吠えた疾風は、
くんっと顔を上げて使役小屋近くの植え込みに目線を流す。
その視線の先へサニも一緒に視線を向けた。

「この裏切り者!」
「てめぇ、疾風 丸さん返さないからな!」
「あ、あの 何がなんだか分からないんだけど…」

植え込みから現れた二人をサニはキッと目を開ける。
普段は閉じているのか笑っているのか分からない顔が一瞬だけ厳しくなり、それを見た三人が押し黙った。
三人の背筋が真っ直ぐ整ったのを確認してサニは表情を戻した。

「エージさん」
「……はい」

「オレインさん」
「…は、はい」

「まさか逃げられると思ったのですか?」

「丸さんを盾にしようってオレインが~俺は止めようって言ったんですけど~」
「えっ…?!」
「そんな事いってない」

即座に返事をしたエージに、生贄にされかかった犬丸、宙を手の甲で叩くオレイン。
三人は同じ高等部の1組。班は違えど小等部から一緒である彼等の仲はとても良い。
三人が並ぶと自然と甘くなってしまう。
出来の悪い息子たちほど可愛いものは無い。

今日、サニがエージとオレインの二人を追い掛け回したのは
午後の陸上訓練で二人がノルマをクリアーできず補習として設けた放課後のロードワークを10週で逃げてしまったからだったのだが
これだけ校内の敷地を駆け回ったのならそれで良いのかも知れない、と思い始める。


否、それでは いけない。

その日は 近いのだから。


「だって、30週とか晩飯の時間までに終らないだろう、絶対。」
「エージくんとオレインくん、陸上訓練クリアーできなかったの…?」

「犬丸センセーはクリアできたの?」
「ギ、ギリギリ」

「縛るか」
「縛るか」
「なんで?!!」

手を軽く打ち鳴らして漫才を続ける三人を止める。
一息大きく溜息をついてサニは仕方なさそうに首を傾けた。

「エージさん、オレインさん。補習は補習です。
ちゃんとクリアーしていただきますよ」
「サニちゃん…」
「サニさーん…」

「ですが、」

続いた言葉に名前を呼ばれた二人の表情が明るくなる。
厳しいだけの母親ではない、そう知っているからこそ希望がさす。

「お」
「なになに」

「今から20週していただくのは、貴方たちの体力を考えると
明日の授業に響いてしまいそうですから簡単な実技で補習を補習しましょうか」

実技の言葉に明るくなった表情が沈んでいく。
だがしかし嫌だと言えばロードワーク20週が待っている。
どちらを選べばより苦労しないだろうか。
同じ思考を巡らせている二人に希望の光が大きくなる言葉をサニは選ぶ

「申し訳ないですが、犬丸さん。お二人にお手伝い願えますか?」
「え?あ、はぁ あ はい」

「よし、頑張ろう丸さん!」
「犬丸先輩あいしてる」

両脇からがっしり首元を掴まれて、人の良さそうな苦笑いを犬丸は浮かべた

 


+++++
つづけ。
前振りで遊ぼうとしたらとんでもなく長く…
あれ?本当にやりたかったことってこの次なんだけど^ワ^;

まあトリオが好き過ぎるって事で。
後、今一トリオ間でのお互いの呼び方が分かってない…なにか違ったらごめんなさいorz

犬丸君は→エージくん、オレインくん
エージ君は→丸さん、オレイン
オレイン君は→ ここ 不明瞭^▽^ごめんなさい 呼び捨てでいいんかなイインカナ?

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