「軍楽科の皆さんはエアリス教官と共に通信関連を
使役科の皆さん及び一組一班、三班、二組一班の皆さんは私と一緒に現地救難を
残る一組二班、二組二班、三班の皆さんはバジル軍医准尉の指揮の元、救難テントにて医療活動を
良いですか皆さん、課外活動にはあたりますが他人の生死が左右される現場です
くれぐれも気を引き閉めて、また天候は緩やかになりつつありますが二次災害には気をつけるように
では解散」
連絡を受けてすぐ、夜半から準備をし早朝に出立
海は荒れていましたが、なんとか現地入りをしたのが正午前
すぐに準備可能だった部隊が少なく、現場配備になったのですが現況は宜しくない、と言った所でしょうかね
生徒さんの中には医務活動を苦手とする方が多く、経験を積むには申し分無いでしょうが
戦うことのみを教え続けてきた彼等が医療の現場でどれだけの実力を発揮できるのでしょうか
常々身を守る戦闘術を教え込んだのは国であり、軍学校であり、私でもあります
明らかに戦闘以外のことをする、と言う現場に戸惑いを覚えている方も見受けられます
私が教えた破壊の術はここでは何の役にも立ちませんね
もっと医療系の本を読んでおくべきでした
*
「今まで何回か現場ってのはあったけどさぁ、救難って初めてじゃね?」
後ろの方を歩きながら話し始めたのはオレインさんでした
距離はありますが、インカムのスイッチを私に合わせたまま切り忘れていますね
「この状況は珍しいデス」
「いいんじゃねぇ~?たまにはさー
私は戦場のナイチンゲールになるネ!なんて素敵!」
同調したアユさんに、楽天的に返事をするグリッツさん
そろそろ無駄話も慎んでもらわないといけませんね
「三人とも黙って歩け、じゃないと」
「一組三班、加害授業の一環であると解散前に説明しましたよ?
現場では軽はずみな行動一つが取り返しのつかない状況を招きます。
学校へ戻ったら反省文ですからね」
ノザキさんが制止に入りましたが、教官に見つかれば連帯責任ですからね
私の声を聞いたルヴァンドさんとルチアさんがオレインさんに文句を言っていますが連帯責任ですよ
確かにこの任務は珍しい
それは誰もが思っていることでしょう
もし、もしもの可能性の話として
この現場をきっかけに、破壊することより、慈しむことに状況がかわるなら
「先生、平気?」
「いえ、何でもないですよビブリアさん」
もしこの、途方も無い夢物語が叶うなら
私の戦ってきた理由が少しでも未来に届くなら
そんな願いを夢見てしまうなんて、もう若くもないのに
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